ヘッジファンドについて

前回に引き続きヘッジファンドについて記載いたします。
前述したように大きなヘッジファンドともなると、国際社会のしくみすら変動させることが出来てしまいます。
それはひとえに集める額の大きさ。その額はZuluTradeなどの為替相場への影響力も納得です。
例えば日本では投資金額が1億円以上から受付可能といったところもあるくらい。
最近でこそその最低価格は下がってきましたが、いずれにせよ未だ高額であることに変わりはありません。

またヘッジファンドが世界に大きなインパクトを与えることが可能なのは、法的制約が極めて緩いという点、
そして私募によって得られた莫大な資金をファンドマネージャーがまさに絶対的な利益を追求するべく動いている点にあります。

ヘッジファンドと投資信託の違い

それは公募である投資信託と比べてみると分かり易い。
投資信託では公募であるがゆえ投資家保護の強い法的規制が存在します。
例えばヘッジファンドでは買いでも売りでもチャンスがあればどちらのポジションであっても取引を行うことができますが、投資信託では買いでしか運用することができません。
また裁定取引やつなぎ売りといったテクニックも法により規制され、違反した場合は罰則の対象となってしまいます。
規制にがんじがらめにされ、投資家保護をうたいながらチャンスがあっても取引できない現状は、リスクヘッジを果たしているどころか、逆方向に向かっているような気がしてなりませんね。

まあそういった矛盾に公募運用側からの非難の声が上がらないのも当然といえば当然のような気がしますが。
それは2点目の利益追求についての考え方に大きな因を見出すことが出来ます。

ヘッジファンドの利益追求の考え方

投資信託でもヘッジファンドでも最終的には利益追求を志向しているのは同じ、ただその熱に違いがあるのは確実。
投資信託では預かった額に応じた管理手数料によって収入を得ており、利益を出さそうが出さまいが定額の収入が保証されています。

一方、ヘッジファンドでは儲けを出さないとファンドマネージャーにお金は入ってきません。
投資家の収益の何割かを成功報酬という形で受け取るシステムですので、ただ毎日のうのうとチャートを見て適当にディールしている限りでは莫大な収入はおろか、わずかばかりのお金すら稼ぐことが出来ないという過酷な環境下にあるのです。
だからこそいかにして稼ぐか、法的に許されたどのようなテクニックを使い、どのようなタイミングで取引をし運用していくか、日々考え、何としてでも収益を上げるのだという強い意欲で市場に臨まなければいけない。
その熱意。その回路。
そこに国際社会を揺るがすほどの大きな変革可能性が潜んでいるのです。

ヘッジファンドとは

今回はZuluTradeを含め為替市場に大きな影響力を持つヘッジファンドのお話です。
1992年、ポンドが急落(ポンド危機)、1997年、アジア通貨が急落(アジア通貨危機)しました。
共に国際社会を大きく揺るがした歴史的大事件でしたが、その大事件の火種を作ったのが
ジョージソロス率いるヘッジファンドだと言われています。

ヘッジファンドによるアジア通貨危機

当時、イギリスはEC(後EU)の域内通貨統合、並びに政情不安を回避するため、ポンドをEC諸国の通貨群と固定、連動させるEMS(欧州通貨制度)、ERM(欧州為替相場メカニズム)を進めていました
(アジア通貨危機では例えばタイではドルと連動させるペッグ制を採用)
ERM、ペッグ制とは簡単に言えばドル(他の通貨)が上がれば、自国の通貨が上がる、ドル(他の通貨)が下がれば自国の通貨が下がるシステム。
そこには自国の経済は全く考慮されず、大国の安定した経済と通貨に連動、身をまかせていれば我らが国の通貨も極端に変動することなく、おおむね安定したかじ取りでもって経済社会をコントロールしていくことができるだろうという思考が横たわっていました。

しかしあまりに他国通貨に身をまかせすぎたがゆえにポンドやバーツは
実際の経済的価値とは全く持ってかけ離れてしまった価格で高止まりしていたのです。
その経済状況と通貨価値の完全なる矛盾をジョージソロスがついたわけですねぇ。

異様な高値で止まっている、いわば虚勢をはった中身すっからかん状態のポンドやバーツを売りさばけば、自然と価格は中身相応の価格にまで下がるはず。
そして下げ止まったところで買えばかなりの額儲けることが出来るのではないかとソロスは考えたわけです。

ソロスからのたたき売りの集中砲火を浴びた各国は当初でこそ公定歩合を調整したり、自国通貨の買い支えなどを行っていましたが、
ソロスの攻撃は止まず、最後は撃沈。
かくしてソロスは巨万の富を手にし、イギリスはERMから脱退、タイはドルベッグを解き、変動為替相場への道へと方向転換せざるを得なくなりました。

このように国際社会にもおおおいに影響を与えるヘッジファンドの存在。
次回はヘッジファンドの仕組みについてお話ししていきたいと思います。

(※1997年当時はZuluTradeはまだありません。2006年~)